第1限目 甲子園は3本の割りばしから始まりました。


 
松葉健司と申します。
三重県立松阪高校で保健体育教諭、野球部監督をさせていただいています。宜しくお願い致します。
 
少し、前任校である久居農林高校の話をします。
赴任早々に一番元気なクラスを担当させていただくことになりまして、たいへん元気があって非常に学ぶべきことがたくさんあった学校でした。
 
赴任後、初めての保健の授業のことでした。教室に入り教卓に立つと前に座っている生徒が後ろ向きに3本の割りばしを出してきて言うんです。
 
「まあ、引け!」って。
 
僕は「うん?何これ?」ってたずねると
 
「まあ、引け!」って。
 
「分かった、引くわ」って引いてみると割りばしに〈10〉って書いてあるんです。
  
その生徒が「10分だけ、お前の話を聞いたろ」って。あとで、その生徒に聞いたら割りばしには〈5〉〈10〉〈15〉って書いてあったらしいんです。(笑)
 
面白い!試されている!と無意識に感じた僕は10分のなかの9分50秒、面白い話をしました。オチのところで間を取って、残りの10秒間は黙って終わり。
  
「ゴメンな10分経ってしまったからこれで終わり」
「はい、じゃあ後は好きにして」と言うと
  
「エッ!その話のオチは!?」
 
「男は約束を守らんとね!はい、好きにして!」と
残りの40分は、教卓に座り子供たちを観察していました。
 
次の授業までワクワクです。僕の準備のはじまりです。
まずは社会科の先生から学校でよく使う大きな地図を
入れる大きな筒を借りて、ホームセンターに行って
角材を3本買ってきました。
角材の先には〈5〉〈50〉〈60〉と書いて。
 
さぁー待ちに待った保健の授業です。(笑)
 
角材の入った大きな筒を抱えて勢いよく教室の扉を開けて前回、割りばしを差し出してきた生徒に「まあ、引けや!」って。(笑)筒の中に入った3本の角材を、今度は僕が、その生徒に差し出したんです。
  
「エッ!?」
その生徒は予期せぬことに驚きクラス中も固まって。
  
「この前、先生引いたよな。男見せたよな。
今度はお前が引く番や!」
  
「エッ~」
 
「男らしく早よ、引け!ちなみに角材には
〈5〉〈50〉〈60〉って書いてあるからな!」
 
「60って、ナニ?」
 
「休み時間までバッチリ授業するんや!気合入れて引きや!」
  
クラスのみんなが注目するなか、生徒はズバーーって引いたんです。見事に〈60〉でした。(大笑)
 
そのあと、前回の続きでオチの話をして、自分自身の恋愛失敗談、人生失敗談を話しました。60分間ミッチリ(笑)
 
それからすぐにクラスのみんなと仲良くなりました。あとから分かったことですが、学校で一番の超元気なやんちゃなクラスでした。(笑)
 
最初に、僕が彼らを受け入れたので、彼らも僕を受け入れてくれました。彼らが出したものを僕が受け入れて、僕が出したものを彼らが受け入れる。すると、すぐに同調(仲良く)できます。仲良くなると、ストレスは減り、楽しくなります。これを僕は「出入りの法則」と呼んでいます。
 
初めての体育の時間のことでした。
自己紹介している僕に、大仏さんのようなヘアスタイルしている生徒が、隣に座ってる野球部の生徒に僕のほうを指さしながら言ってるんです。
 
「これ新しい野球部の先生とちゃうん?」
  
野球部の生徒は「おお、誰が来てもどうせ何も変わらんし」とハッキリ言われました。
あとで大仏さんのヘアスタイルの生徒が「先生、甲子園行くの?」と笑みを浮かべながら言ってきたので
 
「いつか必ず、行くよ」
 
と答えたら生徒は笑いながら「阪神・巨人戦でも観に?」と言われました。
それから一年間子供たちと仲良くなることと真剣さを感じてもらうことだけに集中しました。結果、本当に仲良くなりました。もちろん大仏くんたちとも。
  
3年生の最後の大会が終わり数日後のことでした。3年生から体育館の下に来てほしいと言われました。
  
「えっ、お礼参り!?ドラマの世界が現実に!?」
 
〈第1限目おわり〉

第1限目 甲子園は3本の割りばしから始まりました。


 
松葉健司と申します。
三重県立松阪高校で保健体育教諭、野球部監督を
させていただいています。宜しくお願い致します。
 
少し、前任校である久居農林高校の話をします。
赴任早々に一番元気なクラスを担当させていただくことに
なりまして、たいへん元気があって非常に学ぶべきことが
たくさんあった学校でした。
 
赴任後、初めての保健の授業のことでした。
教室に入り教卓に立つと前に座っている生徒が
後ろ向きに3本の割りばしを出してきて言うんです。
 
「まあ、引け!」って。
 
僕は「うん?何これ?」ってたずねると
 
「まあ、引け!」って。
 
「分かった、引くわ」って引いてみると割りばしに
〈10〉って書いてあるんです。
  
その生徒が「10分だけ、お前の話を聞いたろ」って。
あとで、その生徒に聞いたら割りばしには
〈5〉〈10〉〈15〉って書いてあったらしいんです。(笑)
 
面白い!試されている!と無意識に感じた僕は
10分のなかの9分50秒、面白い話をしました。
オチのところで間を取って、残りの10秒間は黙って終わり。
  
「ゴメンな10分経ってしまったからこれで終わり」
「はい、じゃあ後は好きにして」と言うと
  
「エッ!その話のオチは!?」
 
「男は約束を守らんとね!はい、好きにして!」と
残りの40分は、教卓に座り子供たちを観察していました。
 
次の授業までワクワクです。僕の準備のはじまりです。
まずは社会科の先生から学校でよく使う大きな地図を
入れる大きな筒を借りて、ホームセンターに行って
角材を3本買ってきました。
角材の先には〈5〉〈50〉〈60〉と書いて。
 
さぁー待ちに待った保健の授業です。(笑)
 
角材の入った大きな筒を抱えて勢いよく教室の扉を開けて
前回、割りばしを差し出してきた生徒に
「まあ、引けや!」って。(笑)
筒の中に入った3本の角材を、今度は僕が
その生徒に差し出したんです。
  
「エッ!?」
その生徒は予期せぬことに驚きクラス中も固まって。
  
「この前、先生引いたよな。男見せたよな。
今度はお前が引く番や!」
  
「エッ~」
 
「男らしく早よ、引け!ちなみに角材には
〈5〉〈50〉〈60〉って書いてあるからな!」
 
「60って、ナニ?」
 
「休み時間までバッチリ授業するんや!気合入れて引きや!」
  
クラスのみんなが注目するなか、生徒はズバーーって
引いたんです。
見事に〈60〉でした。(大笑)
 
そのあと、前回の続きでオチの話をして、
自分自身の恋愛失敗談、人生失敗談を話しました。
60分間ミッチリ(笑)
 
それからすぐにクラスのみんなと仲良くなりました。
あとから分かったことですが、学校で一番の超元気な
やんちゃなクラスでした。(笑)
 
最初に、僕が彼らを受け入れたので、彼らも僕を受け入れて
くれました。彼らが出したものを僕が受け入れて
僕が出したものを彼らが受け入れる。
すると、すぐに同調(仲良く)できます。
仲良くなると、ストレスは減り、楽しくなります。
これを僕は「出入りの法則」と呼んでいます。
 
初めての体育の時間のことでした。
自己紹介している僕に、大仏さんのようなヘアスタイルして
いる生徒が、隣に座ってる野球部の生徒に僕のほうを
指さしながら言ってるんです。
 
「これ新しい野球部の先生とちゃうん?」
  
野球部の生徒は
「おお、誰が来てもどうせ何も変わらんし」
とハッキリ言われました。
あとで大仏さんのヘアスタイルの生徒が
「先生、甲子園行くの?」
と笑みを浮かべながら言ってきたので
 
「いつか必ず、行くよ」
と答えたら生徒は笑いながら
「阪神・巨人戦でも観に?」
と言われました。
それから一年間子供たちと仲良くなることと真剣さを
感じてもらうことだけに集中しました。
結果、本当に仲良くなりました。
もちろん大仏くんたちとも。
  
3年生の最後の大会が終わり数日後のことでした。
3年生から体育館の下に来てほしいと言われました。
  
「えっ、お礼参り!?ドラマの世界が現実に!?」
 
〈第1限目おわり〉